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2014年9月 3日 (水)

ソープの思い出26

小倉の韓国籍ソープ嬢に2度目に入ったとき、自作の絵をプレゼントしたことは以前につぶやいた。
このときは具体的な画題はなく、確か風景画がいいと聞いたような。「なんか描いてあげようか」と私は言ったのだ。
そう言ったのは、個室を出る別れ際。彼女はうれしそうな顔をしたけれど、「でももう、来ないでしょ?」とぽつんと言った。 投げやりというのでもなく、「どーせまた来るつもりもないくせに」というような感じでもなく、本当にその時の心情がぽろっと口からこぼれたような。
誓って言うが、私は本当に、次に来るときは描いた絵を持ってくるつもりだった。「信じてないのかよ。じゃやーめた」とは、まったく思わなかった。むしろ、絶対に描かないとな、と思った。事実、大阪に戻った日から、描き始めた。
どれぐらいしてからだったか……とにかく絵が描き上がって、私は再び小倉へ向かった。ビジネスホテルにチェックインし、荷物を下ろして、ソープに行って、その時は確か、すぐに入らずに、6時か7時ぐらいで予約して、その時間になるのを待って出かけたと思う。
予約時間の少し前に行き、入口前に立っているボーイさんに「予約入れてまーす♪」と声をかけて入店。フロントで「**さんを予約しているGIMAです」と言って、入浴料を支払う。待合室で待つことしばし。「**さんご指名のGIMA様、お待たせしました」と呼ばれた。
待合室で待っている間、実はすごく不安だった。彼女は自分を覚えてくれているだろうか。絵を描いて持ってくるという約束を覚えているだろうか。「は? 絵? なにそれ」なんて言われたらどうしようかと。待合室を出ると、ドアの前に彼女が膝をついて座っていた。
「本日はご指名ありがとうございます」と言ったあと、顔を上げて私の顔を見た彼女が、「あ」という表情になった。ああ、覚えていてくれたんだな、と私は胸をなで下ろした。個室は2階。「ホントに来てくれたっちゃねー♪」彼女がうれしそうに言う。
個室に入って、上着なんかを脱いでハンガーに掛けてもらいつつ、私は手提げ袋に入れた、描き上がった絵を彼女に手渡した。
「はいこれ。できたよ♪」
受け取った彼女は不思議そうな顔をしている。袋から取り出した絵を見て、彼女は歓声を上げた。
「なにこれ。うちにくれると?」
両手に持った絵と私とを交互に見ながら、彼女は言った。どう反応していいのか、とまどっているように見えた。「約束したし」私が言うと、「うれしー、ありがとー」彼女はそう言って絵を抱きしめた。少しして、「あ!」と声を上げた。
「お礼どうしよう。どうしたらいいと?」
おろおろと、彼女が言う。
「いや、あげるって約束したから、何もいらんて」
「あかんちゃ-。どうしよう……」
やがて彼女は、私物入れのキャビネットから、タオルセットを取り出し、「これ持って帰って?タオルやけど」
そうして、その日、私は彼女が日本人ではないこと、韓国人であることを聞いたのだった。彼女との初対面から2度目に会ったときまでのことを、後に私はフィクション化して漫画に描き、個人誌として「小倉へ二度」という冊子にまとめた。
冊子が完成したのは、もうかなり彼女と親しくなった頃で、完成本を彼女に進呈すると、同僚たちに見せたのか、「もっと欲しい」と言われ、10冊ほど送った。他の同僚たちも喜んでいたようらしいので、風俗嬢の神経を逆なでするような描写はなかったようだと、ほっとした。
その本、知人友人に配りまくったが、まだ数冊ほどは我が家にある。今となっては青臭いことも書いていて、かなり恥ずかしく、読み返すことが出来ない。まあ、これもまた、いい思い出である。

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